建設業は3Kから新3Kへ!

変わりつつある現場改革を解説

建設現場を代表する「3K」は、30年以上前の1980年代から使われ始めました。1989年には流行語大賞にノミネートされるほど、認知されたものでした。それから現在まで建設業界では3Kが続いていったものの、令和6年4月の労働基準法改正に向けて「新3K」への、動きが進んでいます。今回はこの3Kと新3Kについて解説していきましょう。

1. 建設業の代名詞「3K」とは

1980年代、日本全体がバブル景気に浮かれていた頃の話です。建設業界は「きつい(Kitsui)」「汚い(Kitanai)」「危険(Kiken)」の頭文字をとって、3Kと呼ばれるようになりました。ちなみに海外ではDirty, Dangerous and Demeaningの頭文字をとって、3Dといわれています(意味はほぼ同じです)。
3Kという言葉が定着するにつれ、建設業界に志望する若者離れが進むようになりました。そのため建設業界の高齢化が、進みつつあります。国土交通省の調査では、1992年のピーク時に619万人いた建設業就業者数が、2016年には492万人と約28%も減少しています。
2016年の調査時では、建設業就業者数の約3割が55歳以上でした。その多くが離職していっているなかで、中長期的な建設業就業者確保の必要性が、切実なものとなっています。そこで2015年に国土交通省と日本経団連が、新しく提唱し始めたのは「新3K」です。

2. 徐々に移行しつつある建設業の「新3K」

脱3Kとして提唱された新3Kとは「給料がよい」「休暇が取れる」「希望がもてる」の、Kから始まる言葉です。実際には他の業界では当たり前になっている週休2日制も、多くの会社ではまだ徹底されていません。新3Kのために、どのような取り組みがなされようとしているかみていきましょう。

2-1. 新3K「給料がよい」

建設業界の平均年収をみると、他の業界と比べても高いことになっています。しかしこれは大手ゼネコン社員や設計事務所の収入が、平均を引き上げているだけです。実際に下請けで作業に当たる型枠工、鉄筋工などの中小企業では、平均年収以下となっていることが多いのです。
そこで国土交通省では、日本建設業連合会が表明した「労務費見積り尊重宣言」を踏まえました。下請け企業からの見積もりを尊重する企業の評価を優位にするなどの、取り組みを始めています。ただしこれはあくまで1次下請けが対象です。実際には2次請け・3次請けが当たり前の業界なので、浸透するには時間がかかるかもしれません。
とはいえ元請けとなる大手ゼネコンが、国からの評価を無視はできないでしょう。徐々に変わっていくものと考えられます。

2-2. 新3K「休暇が取れる」

現状まだまだ工期(完成目標日までのスケジュール)の計画が、週休1日ベースで計画されているプロジェクトが多いのです。それも徐々に改善されつつあります。
これは国からの直轄工事において、週休2日が確保できるように工期の設計する、また経費を補正する取り組みも行っていることがあります。2020年3月に「適正な工期設定に関する指針」が、策定・公表されました。具体的な施行日日数などの期間や休日を考慮すること、余裕期間制度を原則活用することなどが盛り込まれています。
また実際の現場においても新しい工法や材料を用いて、ICT(情報通信技術)を活用することで、作業の短縮ができるようになりつつあるのです。ICTの例としては鉄筋間隔の確認に、複数人によるスケールやメジャーで直接計測、写真撮影をしていました。
しかしステレオカメラ(立体カメラ)を使うことで、ひとりにて鉄筋間隔のみならず、鉄筋径まで確認できるようになったのです。省人化・時間削減の影響などがあります。さらに2024年4月より時間外労働に対する、上限規制が適用されました。法的にも環境整備が進められています。

2-3. 新3K「希望がもてる」

建設業界で今一番深刻な問題は、人手不足です。この人手不足の解消方法としては、働き手を増やすことと、ひとりあたりの生産性を上げることのふたつがあります。
働き手を増やすためには、3Kといわれイメージのよくない建設業のイメージを改善する必要があるでしょう。そこで小中学生向けに工事現場の見学や、重機の試乗会などの取り組みをはじめています。同様に工事現場では、騒音や粉塵などの対策で囲いにて覆われているものに、窓を開けるなどして工事中の現場がみえるようにすることもあるのです。人々に建設現場に興味をもってもらうといった、イメージ戦略を進めています。
各現場でも上下関係の厳しい業界から、若者のフラットな価値観に合わせた対応も、徐々に進められているのです。ひとりあたりの生産性向上については先述したICTの活用により、少ない人数で効率的な作業ができるようにしています。またICT建機といって、コンピューターによる自動制御で経験の浅いオペレーターでも、施工できるようにしています。
希望がもてるとあると、職人を希望する若者に対する希望のようにも受け取れるでしょう。しかし実際には、建設業界全体の希望の意味合いが強いものです。とはいえ少ない作業員、より少ない時間で作業ができるようになれば、労働時間や休暇の問題なども解決されます。他の業界と同じような労働環境に近づくことでしょう。

3. まとめ

30年以上にわたり建設業界のイメージとして、根付いてきた3K(きつい・汚い・危険)があります。加齢による離職が続くなか、若者の入職率が減少し労働者不足となっているのが建設業です。しかし国が音頭を取って「給料がよい」「休暇が取れる」「希望がもてる」の、新3Kを進めています。法整備もあり、業界も変わりつつあるのです。 弊社「新滉建設株式会社」でも、若い力を必要としております。未経験者にも優しく丁寧に教えながら、スキルを身に着けていただける環境を作っております。ぜひとも一度、ご相談ください。

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